前回のコラムで、寄付や協賛を受けるには活動の実績だけでなく、そこに関わる「人」の質もアピールすべきではと書きました。今回はその続きです。
多くの人から支援を受けるには、その活動に意義があると周囲から広く認識してもらう必要があります。さらに、事業や組織が将来まで持続されるかどうかも大変重要です。どんなに興味深い活動であっても、運営する母体が維持できなければ支援が行き先を失ってしまうからです。つまり、多くの支援者を集めるには、「社会(公益)性」とともに「事業(持続)性」の両立が必要であるということです。
二つの実例をご紹介しましょう。一つは、同じ設置者が同じ名前の株式会社とNPOを並立させているという例。ITの普及と地域の利便、生活の質の向上を目指すという理念のもと、活動内容によって、どちらの組織で行うかを分けています。SNSのシステム開発と運営に伴う「事業」の面は、株式会社で受け持ち、地域の人にシステムの使い方を広めたり、パソコン自体に親しんでもらう活動をNPOが引き受けて、車の両輪のように、地域の利便と交流に貢献しています。
もう一例は、企業とNPOが上手に手を組んだ例です。調査やコンサルティングの専門性を持ち、行政との連携にも実績を重ねた企業と、実際に利用する立場の人たちの声を集めまとめていくことを得意とするNPOが、まちの交通機関について一緒に考える場を持ちました。提供する側や行政の都合だけを伝えるのでなく、また利用する側からの一方的な要求だけを突きつけるのでもない、「共に描ける未来像」を具体化していくことが可能になりました。